英国誌「The Economist」を読む人

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眞子さまの御結婚 Oct 2021

 

The Economist, Oct 27th 2021

 

Asia

Japanese society

The sun, the moon and the ponytail

 

皇室の結婚

 

 

眞子さまと小室圭氏が初めて出会ったのは2012年、2人が大学生のときだった。眞子さまは小室氏を「太陽のような明るい笑顔」といい、小室氏は眞子さまを「月のように静かに見守る存在」と讃えた。眞子さまが留学中も交際はつづき、2017年、婚約に至った。

 

ところが、思わぬ問題が発覚した。タブロイド紙が言うには、小室氏の母親が元婚約者に対して400万円の借金があり、未返済のままだというのだ。コメンテーターは小室氏の結婚をカネ目当てと評し、眞子さまへの気持ちを疑った。こうした騒動をうけ、結婚は延期、小室氏は法律を学ぶためにアメリカへと発った。だが、依然騒動はおさまらなかった。小室氏が今年帰国すると、日本のメディアは彼の髪型の揚げ足をとり、眞子さまに相応しくないと断じた。

 

1026日、ついに結婚は成った。しかし、公式に式を挙げることはしなかった。それにも関わらず、同日、小さいながら街頭抗議がなされた。大方の見方では、一連の出来事にスキャンダル的なものはない。日本社会は変化しているのも関わらず、関係機関はそれに順応することができていない。

 

 

皇室という存在も難しい。日本の皇室は世襲王家としては世界最長であるからか、現代メディアに対する対応は鈍い。宮内庁は行事に対する管理に卓越しており、儀式も事細やかである。しかし、大衆との関係性には苦慮している。今回の結婚に関しても、間違った情報を修正する姿勢はほとんど見られなかった。

 

皇室の女性に対して厳しすぎることころもある。日本の女性が日頃受けている性差別が行き過ぎた形だ。眞子さまは今回の一件でPTSD心的外傷後ストレス障害)と診断されている。現天皇の妻である雅子皇后は、男子を儲けなければならないという重圧から心を病んだ。美智子上皇后1960年代と1990年代にストレスによって声が出なくなっている。

 

 

天皇家のメンバーは将来的に少なくなっていく。眞子さまは民間人と結婚されたことにより、皇室を離れることになる(男性の場合、離れる必要はない)。眞子さまが去ることにより、皇室のメンバーは17人となり、そのうち、男性だけが皇位継承権をもつ。つまり現在、たった3人だけがその権利を有していることになる。日本の与党、自民党は女性の皇位継承を認めようとしない。

 

日本の政治はとりわけ社会問題に対して、少数ながらも声高な保守派の言いなりになってしまう。そのことが、この件からもハッキリとわかる。最新の世論調査によれば、眞子さまと小室氏の結婚はほとんどの国民に歓迎されている。また、女性天皇に関しても85%が賛成である。監督機関よりも大衆がずっとリベラルであるのは、同性婚夫婦別姓に対しても同様である。そのどちらも日本の法律では禁じられている。

 

眞子さまと小室圭氏は、自国の古いしきたりに囚われることなく、結婚を決意した。まるでイギリス王家のカップルのように。両組はアメリカで会う日があるかもしれない。