英国誌「The Economist」を読む人

イギリス「エコノミスト誌」を読んでいます。

エサとしての昆虫 Sep 2021

 

The Economist, Sep 18th 2021

 

Europe

Edible insects

A bug’s life

 

エサとしての昆虫

 

 

ペットから魚へ、そして養鶏から養豚へ。昆虫(insect)をエサにする範囲が広がってきている。EUの新たな法律によって今月、昆虫由来のタンパク質をニワトリや豚にエサとして与えることが可能になる。飼料への道をすすめてきた昆虫業界にとっては、記念碑的な出来事である。

 

動物由来のタンパク質が、2001年の狂牛病事件によって禁止されたため、ヨーロッパでは大豆や魚肉が飼料の基盤となっていた。しかし、それらは場所をとるうえ、環境にも優しくない。というわけで、飼料製造者は他の飼料を探し求めていた。

 

 

そこで昆虫の登場だ。昆虫はケージを何段にも積んで飼育できるので場所をとらない(水もほとんどいらない)。昆虫のエサは、農業の副産物や食品廃棄物(腐った果物や野菜など)で十分だ。そして何より自然界のほとんどの動物、たとえば野生の魚や鳥、豚も昆虫が大好きだ。

 

難点は価格にある。昆虫タンパク質の価格は、魚肉の2~3倍、大豆の数倍高い。規模を拡大しないかぎり、価格を下げることはできない。オランダのRabobankは、現在年間1万トンの生産が、2030年までには50万トンに達し、価格は下落するだろうと予測している。

 

 

昆虫関連企業は猛ピッチで進んでいる。調査によれば、昆虫は空腹を満たす食料というだけではなく、成長を促し免疫系を活性化させるという。そして、よりグリーンで身近なタンパク源となりうる。

 

養鶏と養豚が現在、昆虫にとって最も大きな市場となっているが、ペットや魚のエサとしての方が競争力をもつ。そういうわけで、昆虫タンパク質は最初、高級肉の飼育に使われる可能性が高いだろう、とミールワーム企業ŸnsectのCEO、Antoine Hubertは言う。

 

EFSA(欧州食品安全機関)は今年、三種類の昆虫(イエローミールワーム、バッタ、ヨーロッパイエコウロギ)を人間に無害と判断した。しかし、鶏肉や豚肉ほどに人々の関心はなさそうである。