英国誌「The Economist」を読む人

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ベーコン・ショック Aug 2021

 

The Economist, Aug 21th 2021

 

United States

Animal welfare

The bacon crunch

 

動物福祉

ベーコン・ショック

 

 

カリフォリニア州では、ベーコンが入手困難になろうとしている。

 

2018年、豚肉・子牛肉・鶏卵の生産者に対して、狭い空間(confined spaces)で飼育された動物の製品を、カリフォリニア州内で販売することを禁じる法案が可決された。

 

飼育に必要とされる空間は以下の通り。

豚肉、24平方フィート(2.2平方メートル)

子牛肉(veal)、43平方フィート(4平方メートル)

鶏卵、1平方フィート(0.1平方メートル)

 

子牛肉と鶏卵は2020年、新たなルールに適応したが、豚肉だけは条件を満たすことができていない。

 

 

カリフォリニア州の新たな制約は、動物を檻から解放するための大きな潮流の一環である。

 

マクドナルド、ケロッグ、クローガーなどは2025年までに平飼い鶏卵(cage-free eggs)のみを使用すると発表している。マサチューセッツ、ユタなどを含む8州は、鶏をケージ内で飼育することを禁じている。

 

カリフォリニア州における養豚業界への衝撃は大きい。同州は年間1億1,600万kg、アメリカ全体の15%を占める豚肉製品を生産している。

 

 

豚肉業界は、カリフォリニアの法律が違憲であると主張している。しかし、アメリカ合衆国第9巡回区控訴裁判所(The us Court of Appeals for the Ninth Circuit)は、NPPC(全米豚肉生産者協議会)およびAFFBF(アメリカン・ファーム・ビューロー・フェデレーション)の嘆願(petition)を、7月に却下している。同様に、最高裁判所はNAMI(北アメリカ食肉協会)の嘆願も、その一ヶ月前に拒否している。

 

NPPC(全米豚肉生産者協議会)のMichael Formica は、新たな法律は豚肉生産者に対しての「不当な負担(an unreasonable burden)」である、と言っている。

 

約225kgの豚の繁殖には普通、14平方フィートの妊娠ストール(gestation crate, 個別の檻)が用いられるため、新しい基準を満たしている豚舎(sow house)は全体の4%以下であるという。

 

 

動物の権利を主張する活動家たちは、「(新法の施行まで)3年もの期間がありながら、豚舎の改築もせず、法令に応じようとしなかった」と養豚業界を非難する。

とばっちりを食う(pay the price)のは、カリフォルニア州民であろう。推計によれば、6ドル(660円)のベーコンを買うのに、今後9.6ドル(1,056円)を支払わなければならなくなる。およそ60%の値上げである。

 

舌なめずりしているのは、闇でベーコンをさばいている奴ら(Bacon smugglers)だけであろう。