英国誌「The Economist」を読む人

イギリス「エコノミスト誌」を読んでいます。

日本のチョコミント Aug 2021

 

The Economist, Aug 21st 2021

 

Asia

Japan’s seasonal confectionery

 

日本のチョコミント
 
 
 
鮮やかな緑色に、ちりばめられたチョコレート。
暑さとともに、チョコミントの季節がやってくる。
 
チョコミントのアイス、クッキー、キャンディー、タピオカ・ティー、さらにはチョコミントのベーグルまでも。
 
インスタグラムには「チョコミン党」の投稿があふれる。
 
 
日本の料理や伝統菓子は元来、季節を大切にしてきた。
 
現代のお菓子やスナックも、季節感を重視する。
桜が咲けばサクラ風味、秋になればポテト味。
 
チョコミントは夏の今だけが、その季節だ。
 
 
 
“The Japanese market moves with the season” 
 
 
「日本の市場は季節とともに動いている」
ゴディバジャパンのJérôme Chouchan はそう語る。
 
季節限定アイテムは、日本の昔ながらの伝統(age-old traditions)だ。
日本の至るところにあるコンビニでは、目新しい商品が好まれる。
 
同志社大学のPhillip Sugai は言う。
「毎回同じチョコレートバーが並んでいるだけでは物足りません。新商品がないと盛り上がらないのです」
 
日本のコンビニでは毎週のように商品が入れ替えられる。
 
 
世界的な製菓企業は普通、同じ商品をつくりつづける傾向にある。それはコストを最小化するためである。
 
「日本は全く逆のケースです」と、元ネスレ日本のTakaoka Kozo は言う。キットカットは季節限定商品を大量に製造している。塩ライチ、小豆わさび…。ちなみに、この商法はイギリスではまったく通用しなかったのだが。
 
日本のお菓子はどれもが美味しい。そのため、品質で勝負することが難しい。
「なにか特別感のある商品が必要なのです」と、スペインの製菓企業Papabubble 日本支社のYokoi Satoshi は言う。
 
名古屋では手羽先の形をしたスイーツ、大阪では豚饅に似せたお菓子など、地域限定品も多い。
 
しかし、数ヶ月ごとに味を変えるのは、海外企業にとっては大変なことだ。種類の少ない商品を大量につくるスタイルを変えなければならない。
「それでもヒット商品(buzzy items)がでると、余計にかかったコストの元がとれます」とMr Takaoka は言う。
 
 
 
それにしてもチョコミントほどの大ヒットはそうそうない。SNSのフォロワーはカルト的でさえある。
 
「チョコミント好きは、本当にチョコミントが大好きなんだ」と、東京のチョコミントを紹介するガイドブックを書いたUshikubo Shintaro は言う。
 
 
そして突然、夏の終わりとともにチョコミントの季節も終わってしまう。

 

チョコミントは姿を消した。

 

次にコンビニの棚を飾るのは、イチゴ味のスイーツたちだ。